第十章 鍾会の裏切り



01.戦闘開始前





羊コ 兵の声が聞こえます。



羊コ どうやら、鍾会殿の軍も成都に
    来られたようですね。



ケ艾 ……囲まれている。



羊コ どういうことです?



ケ艾 気付かんか?
    この殺気……!



羊コ ま、まさか……!



ケ艾 鍾会はどうやら裏切ったようだ。



羊コ な、なぜ……!



ケ艾 わからんが……
    戦うしかあるまい。



03.戦闘開始




鍾会 この鍾会が新たな天下を創造する!
    命が惜しければ降伏するのだ!



ケ艾 我が戦いの先にあるもの……
    それが鍾会の裏切りというわけか。



ケ艾 まあ、それも運命というものか……



鍾会 ケ艾……!



鍾会 貴様だけは降伏を認めん。
    この地で朽ち果てるがよいわ!



ケ艾 そのような気などまるでない。



ケ艾 なぜかわかるか?
    鍾会よ。



ケ艾 ……貴様は私には勝てないからだ。



鍾会 この状況でそのような口を利くか!
    その余裕の態度が気に食わなかった……



鍾会 ついに、貴様を殺せる日が訪れたことを
    嬉しく思うわ!



04.一定時間




杜預 羊コ殿!



羊コ 杜預……
    無事でしたか!



杜預 あ、あの鍾会、鍾会の奴が!
    独立するだの何だの言い出しやがって…



杜預 反対する奴は斬るとか何とか言って……
    やっとの思いでここまで!



羊コ 少しは落ち着きなさい。
    あなたの焦燥や怒りもわかりますけど……



羊コ 今はどうやってここをしのぐか。
    どう生き抜くか。



羊コ それを考えましょう。



07.戦闘勝利




鍾会 くっ、何という抵抗だ……!
    こりままでは……



姜維 やはりケ艾は強い。
    ここは退こう。



鍾会 ぐっ……俺は奴の不意をついたはずだ!



鍾会 それでも……
    それでも俺はケ艾に勝てんのか……!!



ケ艾 敵の攻撃が緩んだ。
    今しかない……



ケ艾 逃げよ、羊コ!



羊コ 何を言っているのです!
    ケ艾殿を置いて逃げるなど……



ケ艾 いや、
    私はもうここまでだ。



羊コ ケ艾殿、その傷は……!



ケ艾 我が天命は尽きたようだ。



ケ艾 だが羊コ、お前にはまだ先がある。
    逃げろ。



羊コ その命令は聞けません!
    私もあなたと共に最後まで……!



ケ艾 お前まで死ねば、誰が天下を一つに
    できるというのだ。



ケ艾 俺の夢を託せるのは……



ケ艾 羊コ、お前だ。



羊コ と、ケ艾殿!



ケ艾 さらばだ、羊コ。



羊コ ケ艾殿ーーー!



08.戦闘後




羊コ もはや残るは呉のみ!



羊コ 蜀を倒した余勢を駆って
    一気に侵攻すべきです!



司馬昭 羊コよ、
      そう慌てても仕方あるまい。



司馬昭 呉の内情は腐りきっていると聞く。
      我らが攻めずとも、いずれ自滅しよう。



杜預 いや、
    それはそうかもしれませんが……



杜預 このままでは……



羊コ 蜀と戦い、命を散らした者は皆……
    わが国による天下統一を思い戦ったのです!



羊コ そのことを考え、どうか!
    私が指揮官となりましょう!



司馬昭 ……私の考えは変わらない。
    話はこれまでだ。




杜預 羊コ殿にしては珍しいですね。
    あんなに熱くなるとは……



羊コ 天下は一つになるべきものです。



羊コ ケ艾殿がかつてそう言っておられました……



杜預 天下を一つに、ですか。
    なるほど……



羊コ 関心している場合ではないでしょう。
    あなたの役目かもしれませんよ。



杜預 ……俺の?



杜預 そんな役を担うことはないと思いますが……