第五章 五丈原の戦い




01.戦闘開始前



司馬昭 父上……
     蜀軍からなにやら届いておりますが。



司馬懿 これは……
     女物の着物ではないか!



司馬昭 孔明は、父上を臆病者と
     ののしっておりますぞ!



司馬師 父上! このような挑発捨て置けませぬ!
     全軍に出陣命令を!



司馬懿 ならぬ! 孔明は病だ。



司馬懿 あせって我らを挑発しているに過ぎん。



司馬師 な、なぜそのようなことがわかるのです?



司馬懿 この敵兵士の数……
     孔明はこの戦で決着をつけようとしている。



司馬懿 そして天を見れば……
     奴の宿星は今にも落ちそうになっている。



司馬昭 そ、それが本当ならば確かに……!



司馬懿 ……師、昭、お前たちは持ち場に戻れ。
    くれぐれも軽々に行動せぬようにな!



司馬師 は、はい……




司馬懿 孔明よ……



司馬懿 俺は勝つためならどんな屈辱でも
      耐えてみせるぞ……!!



02.戦闘開始




諸葛亮 私の命が果てるが先か……
      魏が滅びるが先か……



諸葛亮 決着の時です。



司馬懿 孔明……
      貴様のその執念と策には敬意を表する。



諸葛亮 司馬懿……



諸葛亮 我が挑発にも乗らず軍を指揮する
      その冷静さ……



諸葛亮 かつて、私の計算をここまで狂わせた
      相手はいませんでした……!



司馬懿 孔明、俺はどんな屈辱にも耐える。
      貴様に勝利するためならば!!



04.一定時間



司馬師 父上と孔明の戦い……
    我らの想像をはるかに上回るな。



司馬昭 はい。これが大軍師と呼ばれる二人の
    戦なのですね。



司馬師 我ら、まだまだ遠く及ばぬな……



司馬昭 兄上、我ら兄弟が力を合わせれば
    いつの日か肩を並べることも……



司馬師 小さいことを言うな。
    いつか俺たちはあの二人を越えるのだ。



司馬師 この戦を目に焼きつけておけ。
    司馬一族の天下のためにな!!



06.接触




司馬懿 郭淮よ!この戦が終わっても
      蜀が滅びるわけではない。



司馬懿 この地を守り続けねばならんぞ!



郭淮 心配しないでくださいよ。
    ずっとやってることなんですから。



司馬懿 フッ、軽口を叩いてはいるが
     頼もしい奴だ。



郭淮 やめてくださいよ。



郭淮 そんなこと言われたら照れるし、
    調子に乗っちゃいますよ。



07.接触




司馬懿 孔明、どうやら貴様の命もあとわずか……
      そうであろう?



諸葛亮 よくぞ見破りました。



諸葛亮 この勝利を土産に、天の劉備殿に
      会いに行く所存です。



司馬懿 見事な男よ……



司馬懿 病でありながら、これだけの軍を
      指揮するとはな。



司馬懿 お前のような男と知を競いあえること
      嬉しく思うぞ。



諸葛亮 それは私もです。
      さあ、最後の勝負をつけましょうか……!